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欧州が抱える4つのジレンマとは"

今回は特別編として、欧州危機を特集したいと思います。敏腕経済記者のローレンス・ナイト氏の「欧州が抱える4つのジレンマ」を紹介します。今、欧州危機をさらに深刻化させている問題とは何なのか"その点を深く掘り下げてみましょう。



それでは、11月6日の「日本円/米ドル」の状況から確認していきます。


78.20〜78.28 トレンド状況:やや強気


しばらくアップが不定期になり、申し訳ありませんでした(汗)。さて、いつもは米ドルやユーロ、ポンドに豪ドルなどの通貨を中心にお伝えしていますが、今回は経済記者「ローレンス・ナイト氏」の、ユーロ圏に関する興味深いコメントをお送りします。

タイトルはずばり「欧州が抱える4つのジレンマ」です。

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ギリシャ問題をはじめとする様々なリスクが混乱を引き起こしている欧州だが、一連の流れを見ていると、欧州が抱える「4つのジレンマ」が垣間見える。それらの1つ1つを検証すると共に、その解決法についても考えてみたい。

■借りる人間VS貸す人間■

アメリカやイギリスと同様、欧州も返済不可能に近い債務を抱えている。ここで気になるのが、「どれだけの借金が棒引きされるのか"そして、その尻拭いをする人間は誰なのか"」という点だ。

ユーロ圏全体で見れば、じつはアメリカほど債務状況は悪くない。問題なのは、一部の国が他のユーロ採用国と比較して驚くほど深刻な債務状況にあるということだ。

先月(10月)の取り組みの中で、民間の金融機関が最大で50%の債権放棄に同意した。投資家たちは、「おそらく次はイタリア、ポルトガル、スペイン、アイルランドが同じような状況に陥るだろう」と考えている。

無論、今回のギリシャのように債権放棄を求められた場合は、誰かが「損をする」ということになる。

上記の国々の国債は、アメリカやイギリス、その他の国によって保有されてはいるが、その多くは欧州内の銀行が保有している。特にECBによる保有率が上昇しており、欧州の金融機関に対する信頼の低さが露呈しているようなものだ。

そこで信頼を取り戻すためにも、各金融機関に対して資本強化をするよう勧告している。しかし順調に資本強化できるかどうか、全く不透明な状態なのだ。順調に遂行するとなれば、やはり政府による資金提供が欠かせないだろう。ギリシャ債権を放棄することで大きな損失を被っているため、金融機関が独自の大量で強化に踏み切れるとは考えにくいのだ。

資金的に多少の余裕があるドイツであれば、資本強化に向けた取り組みに協力することは可能だろう。しかし他の国々はどうだろうか"フランスは協力的かもしれないが、その他の国々は協力できるだけの体力を残していない。その上、イタリアやスペインにまで危機が波及するとなれば、もはや政府の取り組みも「焼け石に水」という感じなのだ。

つまり、ユーロ圏の各政府に頼ることが出来ない金融機関こそ、この状況下で「最も損をする人間」であり、そのためのEFSFの拡充は必要不可欠と言える。順調に拡充するかは不透明だが、拡充なしでユーロ圏に信頼が戻ることはない。



■緊縮財政VS成長戦略■

どの国でも同じように、ヨーロッパ各国も借金の風船が膨らんでいく様子を眺めている。深刻な債務状況に陥っているEU圏の国々からすれば、返済負担が急速に大きくなるのを恐れており、借金をする上でのコストも無視できない状況だ。

そこで、ドイツやIMFが推進するように、債務状況が悪い国に対して痛みを伴う歳出削減や増税が求められるのだ。債務状況が深刻ではないドイツに関しても、2013年までに債務を解消すると求められている。

しかし、ここに大きな問題があるのだ。

上記は緊縮財政の象徴だが、緊縮財政は成長を止めてしまう効果がある。歳出削減や増税は、成長を止めて国の歳入を少なくしてしまう恐れがあるのだ。そうなると、逆に債務の返済負担が重くなり、新しく借金をすることも難しくなってしまう。

これを防ぐため、ECBはスペインやイタリアの国債をより多く購入することを検討している。また、現在の1.5%の金利を下げることも検討しており、債務超過に陥っている国に資金を供給し、金利を下げることで「新たに借金しやすい環境」を作ることを目指している。

ところが、この対策はECBのメンバーであるドイツから猛烈に批判されている。国債の追加購入や利下げではなく、EU圏の金融機関への信頼を取り戻すことが先決だとドイツは述べているのだ。こうして世界からの資金流入を加速させることで、市場に資金を大量に供給し、融資と消費のアップを促すべきだと主張している。

しかしながら、現在の欧州危機を考えると、たとえドイツであっても新たな借金を作ることは推奨されない。また深刻な状況に陥っている国からすれば、新しい債務は国家の存続をかけた「天敵」とも呼べる存在であり、何よりも緊縮財政を推し進め、新たな財務体制で新しい成長戦略を考慮すべきと考えるのが妥当だろう。



■罰則VS協力■

今回の欧州危機に対するドイツの姿勢はシンプルだ。「ユーロ採用国が一致団結して厳しい国債入札ルール(債務状況の公開ルール)を作成し、各国がその範囲内で借金をすることが出来る」というものである。

深刻な債務状況に陥っている欧州の国々は、低い金利を利用して無鉄砲な借金を積み重ねてきた。そして現在、それらの国々は市場からの厳罰を受けており、自らも律するべきだと思われる。

したがって、罰則付きでの国債発行ルールの策定をドイツは目指しているのだが、これにはいくつかの大きな問題がある。

まず、ルールを破った国に対して懲罰を加える行為は、それだけで国債の信用度を大きく低下させてしまうという点だ。1回の罰則で実勢経済以上の信頼低下が起こってしまうと、ダメージの大きさも予期できないほど拡大する恐れがある。

また、今のドイツには多少の資金的な余裕があるのだが、将来の動向は不透明と言える。つまりドイツであっても、将来的には罰則対象になる可能性があるということだ。

さらに、厳しいルールの策定に関しては、ギリシャのような「ウソをつく国家」には有効だと言える。ユーロの採用審査をパスするために、ギリシャは自国の債務状況を大幅に良く見せかけ、それがユーロの採用を決定させた。今後このような国の不正参加を防ぐためには、厳しいルールのメリットは大きいと言える。ところがスペインのような国に対しては、少し不公平とも言えるだろう。

厳しいルールのメリットは、「ウソをつく国家をなくす」という点にある。債務状況の透明性が向上すれば、深刻化する以前に何らかの対策を講じることが可能である。その意味では、ギリシャのような国に対しては有効だろう。

しかし、スペインがユーロを採用した時、スペイン経済はまさにバブル経済であった。もちろん審査も問題なく通過し、ユーロ採用国の1つとして認識されることになった。

この時期、スペインの債務はドイツより健全であり、国の歳入範囲内で国家運営を行うことが出来ていたのだ。つまり「国債を発行する必要がなかった」と言える。

ところがバブル崩壊後、一気に国の歳入が悪化して国債を大量に発行し始めた。そのまま回復する兆しも見えず、現在の危機に至っていると考えておこう。

上記の通り、スペインは何もウソをついていない。ただ実勢経済の流れで債務状況が深刻化し、仮にルールが策定されるとすれば、罰則を受ける可能性は十分にある。最も罰則を受けるべき国がギリシャである半面、正直に債務を公開してきた国々にとって、このような罰則を受けるのは腹立たしい以外の何物でもないだろう。

アメリカには、連邦政府が各州に税金を追加で課す代わりに、失業手当の資金を援助するシステムがある。これと同じシステムを欧州が採用する議論も少し見られるのだ。つまり、ECBがEU各国に税金を課す代わりに、ECBが失業手当の一部を負担するという仕組みである。

このシステムは、EU各国の失業者を救うため、EU各国に平等に税金を課すという仕組みであり、その意味では罰則ではなく「協力」の側面を持っている。

しかし、前述のスペインを例に見ると、失業率が20%にまで膨らんでいるのだ。「潜在的にはもっと深刻だ」と述べる専門家も多い。このような状況の中で、ECBが失業手当を負担するとなると、一体どれほど巨額の資金が必要になるのだろうか"たとえドイツであっても、その資金を負担できるとは到底思えない。

ドイツが主張するような「罰則」を重視すれば、不公平に悩まされる国が続出する。一方、「協力」のシステムを導入すれば、破滅的な巨額の資金が必要になる恐れがある。「進むも地獄、戻るも地獄」とはこの事だろう。



■欧州連合VS欧州各国■

最後のジレンマだが、「欧州連合VS欧州各国」の関係も危機を深刻化させている。先日、EFSFの拡充に関して、スロバキアの議会投票に大きな注目が集まった。単一通貨であるユーロに関する決定をする場合は、ユーロを採用している17カ国すべてのリーダーの承認が必要であり、リーダーからの承認を得るには、17カ国すべての議会での可決が必要なのだ。

EFSFの拡充に関しては、唯一スロバキアだけが反対姿勢を最後まで見せていた。議会での可決も不透明な状態にあったため、可決されるかどうか、ここに世界からの大きな注目が集まったのだ(結果、何とか可決されたのだが…)。

このように、全ての議会とリーダーの承認を得るまでは、ユーロに関する事柄を決めることは出来ない。極めて非効率であり、時間のかかる作業と言えるだろう。

現在の危機を考慮すると、「迅速な対応」も重要ファクターの1つである。そこで欧州連合のファンロンパイ大統領は、「全ての議会の可決なしで物事を決める仕組み」の構築を急いでいる。

しかし、現在の欧州連合の大統領には政治的な権力はほとんどなく、仮に「可決なしで物事を決める仕組み」を作る場合でも、17カ国すべての国での可決が必要となる。反対する国が出るのは必至であり、議会で否決されるケースが出るのも当然だろう。

欧州の経済的な中心国であるドイツは、この仕組み作りに賛成しており、迅速な対応を可能にするためにも仕組みの作成を急いでいる。ところが、上記の通り、全ての国の議会で可決される可能性は低く、とても直近に実現可能な対策と言えないのが実情だ。

そこで検討されているのが、「直接選挙による欧州連合大統領の選出」である。現在の大統領の選出の仕組みは、ごく一部の要人の投票によって決まる。つまり「都合の良い人物」が選ばれることが多いため、各国の要人に対して強くメッセージを発信できないのだ。

仮に、大統領を17カ国の民間人による選挙で選出するのなら、大統領には「各国の国民の支持」という大きな武器が与えられるため、要人も都合良く大統領を動かすことが難しくなる。EUの国民に対して近い距離から物事を発信できるため、迅速な対応も可能となることだろう。

ところが、それを決めるにも17カ国の議会での可決が必要なのだ。欧州連合とドイツの「迅速な対応を求める姿勢」と、その他の国々の「自国の事情を優先したい姿勢」の対決、今後も収まる気配はない。

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いかがでしょうか"今回は現在の欧州が抱える4つの問題を紹介いたしました。どの問題を見ても、「進むも地獄、戻るも地獄」という印象があり、今後も問題と危機の収束には大きな時間が必要でしょう。

次回からは、またいつも通りのアップをしていきます。アメリカの失業率も久しぶりに下がりましたし、豪ドルも利下げが行われました。今後も混乱が続く為替市場ですが、出来るだけ参考になる専門家のコメントを紹介していきたいと思います。


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